多摩興運株式会社

(2019年8月)

多摩興運株式会社は、東京都の多摩地区を中心に、環境、エネルギー、福祉の三領域を柱に幅広く事業展開している企業です。2019年4月、多摩地区への貢献をさらに高めるべく同地区での水素ステーション(以下、水素ST)事業を始めるにあたり、JHyMに参画しました。
今回は、同社特別顧問の小礒明氏にお話を伺いました。

1. 水素エネルギーへの想い

弊社の事業の理念は、「環境」「エネルギー」「福祉」の三本柱です。私はその中でも「環境」について昔から最も強い関心をもっており、東京都の公的な環境関係の委員会に入り、環境政策に取り組むとともに大学において環境学の授業を担当してきました。かつて東京都では、ディーゼル車の排出ガス規制が強化され、それにより大気環境が大幅に改善されましたが、このとき私は、自動車からの排出ガスをコントロールして環境負荷を低減していくことは、今後、よりハイクオリティーな環境社会を求めていく上で非常に効果的な政策であると認識しました。また、「エネルギー」については、弊社はガソリンと天然ガスのスタンド事業を行なっていますが、そのなかで様々なエネルギーについて、ひいては持続可能な社会の実現に向けて安全かつ大気環境にもより良い影響を与え得るエネルギーはないものか、考えを巡らせてきました。そうして「環境」と「エネルギー」の両面から辿り着いたのが、水素です。
首都東京では2020年にオリンピックとパラリンピックが開催されます。それにより東京都は多くのことを世界に発信する機会に恵まれることになります。「世界一の環境都市」を目指す東京都にとっては、今こそ「水素時代」に大きく踏み出すチャンスです。弊社の事業拠点である多摩地区は、人口約420万人で、面積は東京都の約2/3を占めます。様々な企業や大学などが立地されるなどの多様性があり、中央道及び甲州街道や南多摩尾根幹線道路の4車線化などの交通ネットワークも形成されています。しかし、そんな地域に現在水素STが非常に少ない。私は燃料電池自動車(FCV)は究極のエコカーだと思っています。「環境面」+「エネルギー面」でもう一段高いところを目指し、多摩地区からも水素を普及していく必要があるのではないか、そういう想いから今回水素ST事業への参入を決断しました。

2. 事業の決断から社内の啓発へ

決断直後は、正直に言って「地場資本中小企業の我々にできるのだろうか」という不安もありました。しかし、それは新しい事業を始めるにあたっては常にあるものです。今回は「これからの新しい時代に向けて」そして「社会貢献」という見地に立ち、水素STを運営する意義は極めて高いという強い気持ちをもって乗り越えてまいります。
当然、社内にも慎重になる者はいました。彼らには
・「必ずや社会貢献になる」という誇りをもって進めていこう
・「我々のような企業規模でも水素STの整備・運営が出来得るのだ」ということを社会に示すとと
もに自信につなげていこう
・ベストかどうかは断定できないが、参入するに良いタイミングだ(特に2020年東京オリンピック
の競技である自転車ロードレースが開設予定の水素STの目の前の道路を通ることになっている)
・我々は水素STのことについては素人であり、これから新しいことに直面し、多くのことを学ばね
ばならない。だが、それは我が社にとってきっと良い経験になるはずだ
と熱意をもって説明し、モチベーションを上げることができました。以後、私が頻繁に「水素、水素」と口にすれば社員皆、興味をもってくるもので(笑)、いまでは水素STだけでなくFCVへの関心も高まっています。
決断によってまず何より目指すべきは水素STの開業。社員一丸となって取り組んでまいります。この事業には新しい時代と未来を感じており、今回このような機会に恵まれたことはとても有り難いことだと思っています。

3. JHyMについて

このように、以前から水素への関心をもっていた私は、JHyMを知る前から水素STを運営されているいくつかのインフラ事業者さんに水素STについてお話を聞かせていただきました。お話を伺いながら次第に水素ST事業に着手してみたいという気持ちになり、そういう交流が深まっていく過程でJHyMを紹介いただきました。
インフラ事業者さんとの交流やJHyMとの面談を通して水素ST事業に関する知識や情報は格段に増えましたが、本当にやってみようという想いが強くなればなるほど「この事業は一企業単独で取り組むのは難しい」という認識も高まり、JHyMとの協業の合理性を痛感し、今回参画させていただくことになりました。
JHyMを知った当初は、私自身、JHyMに対し「公的な意味合いが強い」というイメージを持っており、どこまで相談に乗ってもらえるのか、どこまで対応してもらえるのか疑問に感じることがありました。けれども、JHyMは、水素STを知らない我々にとって、すぐに理解できないところを幾度も丁寧に説明してくれました。そうした面談の積み重ねによって、実務面の疑念は払拭されましたし、気持ちの上でもJHyMとの距離は大いに縮まり、いまや隔たりは全く無い気持ちでいます。

4. 水素STは地域とともに

この事業を何とか地域に根付かせたい、会社の成長のステップの一つにしたいなどいろいろなことを前向きに考えながら、将来に向けて沸々とする熱い想いを抱いております。これは社員一同、共通して感じていることだと思います。
そして、これからは地場資本の中小企業がこの分野に参画していく必要性は極めて高いと確信しています。水素を地方や地域レベルで広め、水素社会の実現に大いに寄与することが重要です。水素STを開業し、多摩地区で「中小企業でも水素ST事業をしっかり運営できる」という姿を見せていくことで、地域の住民の方々の水素エネルギーへの理解を高めていきたいですし、全国各地で「では次は我々も」という地場の企業が続いて出るよう道筋を示していけるようになりたいと考えています。

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特別顧問 小礒明氏  (2019年8月)