光南工業株式会社

(2022年10月)

光南工業株式会社は、愛知県を中心に、主にガソリンスタンドや自動車整備工場を運営する、アイシングループの関係会社です。2020年4月にJHyMに参画し、商用水素ステーション(以下、水素ST)の整備を進め、2021年3月に「光南水素ステーション刈谷」を開所しました。今回は、取締役社長である廣瀨隆久氏に、JHyM社長 菅原英喜が対談形式でお話を伺いました(以下、敬称略)。

1. ニーズの強い地域

菅原:最初に、貴社が水素STに関わることになったきっかけなどをお聞かせください。
廣瀨:2015年だったと思いますが、愛知県庁より「三河地区で(弊社のような)地元事業者に水素STを整備してほしい」という相談がありました。そのときは、「とてもやっていけそうにない」とお断りしました。何分にもいまから7年ほど前のことでしたから、当時は水素STを我々が運用できるような設備として捉えられませんでした。しかしながら、そういうお話を伺ったことで、この先水素が新しいエネルギーとして広まっていく息吹を感じまして、少しずつ水素STに関する情報収集をするようになっていきました。
そして、2018年、刈谷市にある弊社のガソリンスタンドの一つが建て替え時期を迎えまして、その折さまざまな構想を練るなかで、水素STを併設できないか、という案が出たのです。そこから本格的な検討が始まり、最後は単独の水素STとすることに決め、時間はかかりましたが、愛知県庁へ報告に行きました。そこが現在の「光南水素ステーション刈谷」です。
菅原:社内で色々な議論があったと思いますが、最後に水素STの建設を決断された理由は何だったのでしょうか。
廣瀨:愛知県は、自動車産業が盛んな県ですから、自動車に携わる企業さんなら、今後大きく発展していくであろう水素モビリティに各々の強みをいかして対応していこうという気持ちは、少なからず念頭におありだと思います。そんななかで、弊社はトヨタグループの中核企業である株式会社アイシンの関係会社であり、エネルギーの供給に携わってきたことから水素STをやるなら一番乗りを果たしたい、と思ったのです。

2. 整備~開業

菅原:水素STの整備に着手するにあたって、貴社内での反応はいかがでしたか。
廣瀨:水素STの整備をするぞ、と旗揚げしたときは、率直に言って、あまり盛り上がりませんでした。ただ、弊社は、昔から工業用の水素のビジネスをしていまして、水素STを運営することによって、そのビジネスについても新たに学べることがあるのではないか、という期待の声が出、そういう流れから「水素ST事業への参入」が社内に浸透していったように思います。
菅原:元々水素とのビジネス上の関わりもおありだったのですね。
水素STを開業されておよそ1年半が経ちましたが、改めて貴社の水素STの特色や経験談などを教えてください。
廣瀨:上述のように、弊社の水素STは、ガソリンスタンドとの併設ではない、単独の水素STです。単独にした理由は、水素STの面積を十分に確保して安全に運営できるようにしたかったことと、今後水素がエネルギーの主流になっていくときにガソリンスタンドを並べて建てる必要はないと判断したことです。後戻りはしないという気持ちの表れでもありますね。
特色としては、燃料電池バス(FCバス)への充填を行なっています。これは路線バスではなく、企業の通勤用のバスです。弊社が刈谷市に水素STを整備するので、需要を盛り上げるために何かできることはないものか、と、周辺のトヨタグループ企業に呼びかけ、複数の会社様にFCバスを導入していただきました。現在3台のFCバスへの水素供給を担っています。
また、開業後ほどなくして感じたことですが、意外に多くの燃料電池自動車(FCV)に来場いただいていました。弊社の当初の事業見通しを超える台数の来場がありましたので、周辺には我々の想定以上にFCVが普及していることを実感しました。刈谷地区の大手自動車部品メーカーさんと取引のある企業さんにもFCVの導入が広がっているようです。FCバスにしても、FCVにしても、とても有り難い環境だと思っています。

3. JHyMについて

菅原:ところで、我々JHyMはいつどのように関わるようになったのでしょう。
廣瀨:2019年のFC関連の展示会でお話を伺ったのが最初だったと思います。国の補助金やJHyMからの経済的支援について説明いただき、検討に弾みがつきました。当時の状況では、弊社の独力で事業性を検証することは不可能だったと思います。あのときJHyMに出会えたからこそ、それを実施することができ、具体的に着手する方向に踏み出すことができました。
菅原:参画いただいてからも、JHyMはお役に立っていますか。
廣瀨:はい、言うまでも無く、経済的な支援は弊社にとって大きなメリットになっています。加えて、JHyMの新規事業者を集めての研修会に参加させていただいたことは、他の事業者さんとの横の繋がりをつくる良い機会になりました。
菅原:ありがとうございます。研修会を通じて、事業者様同士で直接交流できる関係を構築していただけるのは、JHyMにとっても大変喜ばしいことです。
廣瀨:あれから時が経ったので、再度お会いし、お互いのその後など意見交換してみたいと思っているところです。是非、第二回の開催をお願いします。

4. 水素モビリティの発展とともに

菅原:最後になりますが、今後の展望についてお聞かせください。
廣瀨:いまの「光南水素ステーション刈谷」の事業性のお話をすると、当分は厳しい状況が続くものと思われます。しかしながら、この先水素が新しいエネルギーとして飛躍していくことを見据えると、FCVだけでなく、FCバスや燃料電池トラック(FCトラック)などの大型FC車両の普及が進み、それに伴って、水素STの事業の構造も変わっていくものと思われます。そうなったときに、自分たちの水素ST事業をどう適応・発展させていくべきか、非常に大きな課題と捉えています。
日進月歩の水素モビリティに遅れることなく対応していく使命は果たしていかねばならないわけですが、そんなときでもやはり、地域において「機先を制する」姿勢は貫きたいので、あまりゆっくり考えてはいられません。「今後」はもう目前まできているように感じています。
菅原:本日は貴重なお話ありがとうございました。JHyMとしても今後も可能な限りのサポートをお約束します。
貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます。

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取締役社長 廣瀨隆久氏(2022年10月)